娘の幸せを願う父親の心の矛盾

親は、娘が思い悩み悲しんでいたら同じように苦しい気持ちになるけれど、娘が幸せの絶頂にあっても心配になる…

2022年公開の「Ticket to Paradise」で、父親のデヴィッドが口にした言葉です。

 

Ticket to Paradiseは、離婚した夫婦が一人娘の国際結婚を阻止するために奮闘するロマンス・コメディ映画です。

映画の主な舞台となる南国の島、バリ島の色鮮やかな自然と透き通った美しい海に心を奪われた1時間44分のなかで、最も印象に残ったのは娘の幸せを願う親の心の葛藤でした。

 

人の親でない私でも、娘が悲しんでいるときに何とかしてあげたいと思う親心は理解しているつもりでしたが、娘が幸せであっても心配はつきないことを再認識しました。

 

親は、子どもより長く生きているからこそ、「幸せが永遠に続かないこと」を実体験として知っています。

だからこそ、子どもが最高に幸せそうに暮らしていても、不安や心配がなくなることはないのです。

 

親と子どもは別の人間で、娘には娘の幸せがあると頭では理解していても、子どもの幸せを思うばかりに、少しでも安定したレールを作りたくなってしまう…

親がどうあるべきかだけでなく、親から子へのはかりしれない愛情について改めて考えることができました。

 

親と子の関係性・在り方に正解はないかもしれないけれど、今家族と一緒に過ごせる時間を何より大事にしたいと思わせてくれる映画でした。